生きてさえいれば 小坂流加 を読んで。

「余命10年」の作者の二作品目。
「余命10年」の作者小坂流加さんが2017年に逝去され、編集部から他にも原稿はありませんか?
と遺族の方になげかけられ、見つかった作品。 
この作品は、いつ頃完成して、何度推敲されたかは不明。もしかしたら執筆途中かもしれない。
しかし、物語は完結しておりクオリティからみても、おそらくほぼ完成しているのではないかと思う。

間違いなく「名作」
恋愛小説を全く読んでこなかった僕が「余命10年」を初めて読んで、とても感動し、同じ作者という事でこの作品も読んでみた。
個人的な感想としては、こちらの方がストレートな「恋愛小説」だなと感じた。
「余命10年」は常に「死」を感じながら物語は進んでいくが、この作品は主人公の「秋葉」と
「春桜」の恋愛がど真ん中にあって物語は進んでいく。物語のテンポも心地よく、続きが気になって
一気に読んでしまう。
読後感は、本当に清々しく、最後までハラハラさせられるがラストは、この本読んで良かったと
思うはず。

不思議なモノローグ部分。
物語の途中で、突然「春桜」が想いを話す部分がある。
そこは、本の表記も太字になって他の部分とは区別されている。もちろん、話の中の言葉なので
何を言っているかは、物語を読んでいたら理解できるのだが、不思議な感じがする。
作者の意図的な表現なのか、もしくはここは後から修正する部分だったのか、今となってはわからない。でも、この部分は結構好きだったりする。まるで「秋葉」になった様な気分になって「春桜」が目の前で話しかけてきている感覚になる。

是非、この作品も映画化を!
「余命10年」の映画化が発表されましたが、是非この作品も映画化を熱望します。

まとめ。
「余命10年」はドキュメンタリーの様なリアルさがあって、ある意味読んだ後、沈んでしまったんですが、この「生きてさえいれば」は、一人一人の抱えている課題や問題は重たいけども、とにかく最後まで読み切れば、本当に良い小説だなと感じられると思う。恋愛小説が苦手な方にもおすすめです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



生きてさえいれば (文芸社文庫NEO)

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