描きたい!!を信じる 少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方(週刊少年ジャンプ編集部) (集英社単行本)
少年漫画雑誌の王者「週刊少年ジャンプ」編集部による、業界で一番最前線のマンガ教則本が
この「描きたい!!を信じる 少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方」です。
漫画を描きたい!でも、何をすれば良いの??
漫画家になりたい!でも、どうしたら良いの??
なんとしても、ジャンプで連載を勝ち取りたい!
そんな人たちに向けたジャンプらしい熱い熱い本でした。
今日は、その今一番熱いマンガ教則本である、この本の紹介をしていきます。
どんな本?
最初に書いたとおり、漫画家を目指す人向けの内容で
『売れっ子漫画家コウセイが、プロを目指していた高校生の時にジャンプ編集者たちや
ジャンプ作家たちとの交流をとおして、
・漫画を描くことにおいて大切なこと
・漫画を描くスキル
・漫画を描く為に必要な道具(アナログ・デジタル)
などを学んでいくストーリー』を基軸に進んでいきます。
ちなみに、このコウセイ君はほとんどイラストすら描いた事がない状態からの
スタートになるので、超初心者の方も安心して読み始めると思います。
![](https://mutocola.com/wp-content/uploads/2021/07/cd17e81b-fe96-401a-9142-b179adbd2756-800x597.jpg)
他の教則本との違い
今や、ネットでも書籍でも漫画の描き方やスキルを学ぶ媒体は数多く存在します。
しかし、この本はそれらノウハウだけを伝える教則本と大きく違う点があります。
とにかく、ジャンプらしい熱さが込められている!!
たしかに最終的には、表現の技術は求められるし、この本で登場してくる現役ジャンプ作家さん
たちのスキルに「やっぱり、天才的なセンスがないと無理なんだな」なんて挫折してしまいそう
ですが、そんなの当たり前で、スキル・センスともに兼ね揃えているから現在、ジャンプ作家として
活躍されている。でも、この先生方も最初から、これらの腕があった訳ではない。
大事なのは、スキルが先ではなくて「どうしても描きたい!!」があって
それを表現する為にスキルを磨いていく。
だから、一番最初に「描きたい!!」を見つけろ。というところから始まります。
ジャンプ黄金期には、毎週読んでいた「週刊少年ジャンプ」をいつしか全く読まなくなっていました。
この本をきっかけに、久しぶりに買って読んでみました。
すると、この本の冒頭に書かれていた事がわかった気がします。
掲載されている漫画の絵のうまさは、他の雑誌に比べてかなり幅があるように感じました。
でも、読者に「描きたい!!」という勢いやギラギラしたものをバンバン感じます。
読者アンケートで掲載順番が決まるシステムのジャンプは
「絵がうまい」=「おもしろい」とは限らない。
その証拠に、めちゃくちゃ絵が上手だけど後ろの方に掲載されている漫画もある。
※単にジャンプにあってないという可能性もあるが・・・
「おもしろい」があれば、読者は絵のうまさを飛び越えてしまう。
かつ、この本が素晴らしいのは、その上で
おもしろければ、技術はいらないなんて無責任なことは言わない。
耳障りの良い事だけを書いて、読者を持ち上げるだけの本じゃない。
実際のお題(テーマ)を出して、現役ジャンプ作家にネームを書いてもらう部分では
プロの計算された構図や流れを目の当たりにして、現実を叩きつけられる。笑
編集部が現役ジャンプ作家先生たちに準備したプロを目指していた頃についてのアンケートの
回答を見て「そりゃ、プロになるわな」なんて思っちゃうところもあったり、なかなか厳しい
内容もある。
![](https://mutocola.com/wp-content/uploads/2021/07/dose-media-Wdtdkg3xq00-unsplash.jpg)
夢を見させて、現実も見させてくれる「アメ」と「塩」の絶妙なバランスが
漫画家になるという夢を、現実の上で実現させる「リアル」を伝えてくれている。
あとは、自分次第だよね。がんばって。て言われている感覚になる。
ジャンプは本気で新しい力を探している
人口減少や、ネット配信の進歩から少年漫画雑誌も生き残りを懸けた競争のスピードが
さらに上がっているんでは、ないかなと思っている。
他雑誌(週刊少年マガジン)なんかも、新人発掘企画をネット上で行っているのを見た事がある。
少年ジャンプも無料でも使える「メディバン・ペイント」とのコラボで「ジャンプ・ペイント」
というアプリを立ち上げて、そこで描いたデジタル漫画をそのままジャンプの投稿サイトに投稿でき
そこからジャンプ連載を勝ち取れる流れができている。
これは、個人的な所感だが、今までは待っていても「ジャンプ」といえば
たくさんの漫画家志望の若者は自然と集まってきていたのではないのだろうか。
この本では、漫画家を目指す人にかなり寄り添って書かれていると感じる。
例えば、編集部への持ち込みなんかでは辛辣な言葉を言われて凹んだとか
とりあえず、一回目は根性を見てるから「折れないでね笑」みたいな感じでエピソードが紹介される。
※某鳥山明へたっぴマンガ研究所とか☜私のバイブルです。
ここだけ読んだら「いや、絶対行きたくないしっ!!」って思う。
でも、この本は、そこから始めていこうとフォローしている。
編集者と一緒に「次はこうしよう」とか「次はこれを練習してみて」と
二人三脚でプロになっていこうと励ましている。
あ、もちろん義務教育の学校じゃないので全員ではなくて、見込みがある人だけでしょうが。これは、他の世界(仕事)でも同じです。
まだ、ジャンプの企画する新人発掘ページを見てみない人は見てみて欲しい。
冒頭、数ページで参加できる企画なんかがある。
この本は、ジャンプが本気で新しい力を探している想いが凝縮しています。
まとめ
私は、何冊かの漫画やイラストの教則本を購入しています。
その中で、この一冊は群を抜いていると思います。
ノウハウだけなら無料のサイトで学ぶことはできます。でも、漫画を描くのに一番大切な事は?
とか壁にぶち当たった時の対処方法などを現在業界の最前線で戦われている「リアル」な言葉で
学べるのは、この本だけではないでしょうか。
漫画家を目指す人は、一度は手に取ってみて欲しいと感じた一冊でした!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。